
「最近、生え際が後退してきた気がする」「以前より頭頂部の地肌が目立つ」「抜け毛が増えてきたけれど、何をすればいいのかわからない」
薄毛について調べ始めると、AGA、フィナステリド、ミノキシジル、自毛植毛、FUE、FUTなど、聞き慣れない言葉が次々に出てきます。
さらに、AGAクリニック、皮膚科、自毛植毛クリニックなどさまざまな医療機関があり、「結局、自分は何を選べばいいの?」と迷ってしまう人も少なくないでしょう。
薄毛、いわゆる「ハゲ」の治療で最初に知っておきたいのは、薄毛の原因や進行度によって適した治療方法が異なるということです。
特に男性の薄毛で多いAGA(男性型脱毛症)では、内服薬や外用薬、自毛植毛など複数の治療方法があります。日本皮膚科学会では、男性型脱毛症に対するフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル外用を推奨度A、自毛植毛を推奨度Bとしています。
しかし、「薄毛=すべてAGA」というわけではありません。円形脱毛症や甲状腺疾患など、AGAとは異なる原因によって髪が抜けている可能性もあります。
だからこそ、薄毛治療を始めるときは、いきなり「薬を飲む」「植毛する」と決めるのではなく、まず薄毛について正しく知ることが大切です。
このページでは、これから薄毛治療を始めたい方に向けて、AGAとは何なのか、どのような治療方法があるのか、AGA治療と自毛植毛にはどのような違いがあるのか、費用や副作用、クリニック選びでは何を確認すればいいのかまで、できるだけわかりやすく解説します。
- まず知っておきたい「薄毛=AGA」とは限らない
- AGAとは?
- なぜAGAになるの?
- AGAは放っておいても大丈夫?
- 薄毛・AGAにはどんな治療方法がある?
- フィナステリド|AGAの進行を抑える代表的な内服薬
- デュタステリド|もう一つの代表的なAGA内服薬
- ミノキシジル|発毛を促す治療
- 「飲むミノキシジル」は同じように考えてはいけない
- 自毛植毛|自分の髪を薄毛部分へ移植する治療
- 自毛植毛にはFUEとFUTがある
- AGA治療薬と自毛植毛はどちらがいい?
- 薄毛が進行してからでもAGA治療薬は意味がある?
- 自毛植毛にはダウンタイムがある
- 植毛すればAGA治療薬を一生飲まなくてもいい?
- 女性の薄毛治療は男性と同じではない
- AGA治療はどのくらいで効果が出る?
- AGA治療をやめるとどうなる?
- AGA治療や植毛は保険が使える?
- 育毛剤・シャンプーだけでAGAは治る?
- 食生活や睡眠を改善すれば髪は生える?
- 初めてAGAクリニックへ行くと何をする?
- AGAクリニック・植毛クリニック選びで重要なこと
- こんな場合は一度医療機関へ相談しよう
- はじめての薄毛治療でよくある質問
- まとめ|薄毛治療は「自分の薄毛を知ること」から始めよう
まず知っておきたい「薄毛=AGA」とは限らない
薄毛治療を考えるとき、最初に理解しておきたいのが「薄毛には複数の原因がある」ということです。
インターネットで薄毛について検索するとAGAという言葉を非常によく目にしますが、髪が薄くなる原因はAGAだけではありません。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、男性型脱毛症を診断する際にも、円形脱毛症の一部や慢性休止期脱毛、全身疾患、貧血、急激なダイエット、薬剤などによる脱毛との鑑別が重要とされています。
例えば、生え際が数年かけて少しずつ後退してきた場合と、ある日突然大量の髪が抜け始めた場合では、考えられる原因が異なります。
頭の一部分だけが円形に抜けている場合や、短期間で急激に抜け毛が増えた場合、頭髪以外の毛まで抜けている場合などは、一般的なAGAとは異なる脱毛症の可能性があります。市販のミノキシジル製剤の添付文書でも、急激な脱毛や斑状の脱毛などがある場合には、壮年性脱毛症以外の可能性があるとして医師・薬剤師への相談が案内されています。
「薄毛だからAGAだろう」と自己判断するのではなく、特に症状が急激だったり典型的なAGAのパターンと異なったりする場合には、医療機関で診てもらうことが大切です。
AGAとは?
AGAは「Androgenetic Alopecia」の略で、日本語では男性型脱毛症と呼ばれます。
男性によくみられる薄毛の一つで、思春期以降に始まり、徐々に進行していくことが特徴です。
よくあるのは、生え際が左右から後退していくタイプや、頭頂部が徐々に薄くなっていくタイプです。生え際と頭頂部の薄毛が同時に進行するケースもあります。
AGAで重要なのは、単純に「髪が抜ける」というより、髪の毛が太く長く成長する期間が短くなり、徐々に細く短い毛へ変化していくという点です。
日本皮膚科学会では、AGAでは通常数年続く毛髪の成長期が短くなり、毛髪が十分に成長できず、短く細い毛へミニチュア化していくことで薄毛が目立つようになると説明しています。
そのため、AGAの初期では完全に髪がなくなるというより、「以前より髪が細くなった」「髪型が決まりにくくなった」「地肌が透けるようになった」といった変化から気づく場合があります。
なぜAGAになるの?
AGAには男性ホルモンが関係しています。
男性ホルモンの一つであるテストステロンは、5α還元酵素という酵素によって、より作用の強いDHT(ジヒドロテストステロン)へ変換されます。
このDHTが前頭部や頭頂部などにある男性ホルモン受容体へ作用することで、毛髪の成長期が短くなり、髪が十分に太く長く育つ前に抜けやすくなると考えられています。
この仕組みを理解すると、なぜAGA治療でフィナステリドやデュタステリドが使われるのかもわかりやすくなります。
これらの薬は5α還元酵素の働きを抑え、DHTが作られるのを抑制することによってAGAの進行を抑える治療薬です。
つまりAGA治療では、単純に「育毛剤をつけて髪を生やす」という考え方だけではなく、AGAによって髪が細くなっていく仕組みに対して治療を行うことが重要になります。
AGAは放っておいても大丈夫?
AGAは一般的に徐々に進行する脱毛症です。
もちろん、薄毛そのものが気にならず治療を希望しないのであれば、必ず治療しなければならないわけではありません。
一方、「できるだけ今の髪を維持したい」「将来的に薄毛が目立つのを抑えたい」と考えているのであれば、薄毛がかなり進行してからではなく、気になり始めた段階で一度診察を受けておくことには意味があります。
AGA治療薬の多くは、現在ある毛髪を維持したり、細くなった毛髪の成長をサポートしたりする考え方の治療です。
毛髪がほとんどなくなってからでは、薬だけで希望する見た目まで改善させることが難しいケースもあり、その場合には自毛植毛など別の選択肢を検討することになります。
大切なのは、「早く薬を飲まなければならない」と焦ることではありません。
まず自分の薄毛がAGAなのか、それ以外の原因なのかを確認し、そのうえで治療するかどうかを判断しましょう。
薄毛・AGAにはどんな治療方法がある?
男性のAGA治療では、大きく分けると「抜け毛の進行を抑える治療」「発毛を促す治療」「髪そのものを移植する治療」という考え方があります。
日本皮膚科学会の患者向け情報でも、男性型脱毛症の主な治療方法として外用療法、内服療法、自家植毛術が紹介されています。
ここから、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
フィナステリド|AGAの進行を抑える代表的な内服薬
AGA治療で広く知られている薬の一つがフィナステリドです。
フィナステリドは5α還元酵素Ⅱ型を阻害する薬で、日本では男性型脱毛症の進行遅延を目的として使用されます。PMDAの添付文書では、男性における男性型脱毛症のみが適応であり、女性や他の脱毛症には適応がないことが明記されています。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、男性型脱毛症に対するフィナステリド内服は推奨度A、「行うよう強く勧める」とされています。
フィナステリドは、今ある髪をいきなり増やすというより、AGAによって髪が細く短くなっていく流れを抑える目的で使われる薬と考えるとわかりやすいでしょう。
効果が確認できるまでには時間がかかります。PMDAの添付文書では、3か月程度で効果が現れる場合もあるものの、通常は効果を確認するまで6か月程度の連日投与が必要とされています。効果を維持するためには継続服用が必要です。
フィナステリドには副作用もある
医薬品である以上、副作用の可能性があります。
フィナステリドでは、リビドー低下、勃起機能不全、射精障害などの性機能に関する副作用や、肝機能障害などが報告されています。また、現在の添付文書では、自殺念慮・自殺企図などが報告されていることから、精神状態についても注意事項が記載されています。
副作用が必ず起こるわけではありませんが、「AGAの薬は安全だから誰でも気軽に飲める」と考えるのではなく、体調や既往歴、現在服用している薬などを医師へ伝えたうえで治療することが大切です。
デュタステリド|もう一つの代表的なAGA内服薬
デュタステリドもAGA治療で使用される代表的な内服薬です。
フィナステリドが主に5α還元酵素Ⅱ型を阻害するのに対し、デュタステリドは1型と2型の両方を阻害します。日本では男性型脱毛症治療薬として承認されており、日本皮膚科学会のガイドラインでも男性型脱毛症に対する内服は推奨度Aです。
PMDAの添付文書では、治療効果を評価するためには通常6か月程度の治療が必要とされています。
デュタステリドでも性機能不全、乳房に関する症状、肝機能障害や黄疸などの副作用が報告されています。また、女性と小児には投与しないこととされています。
フィナステリドとデュタステリドのどちらを使用するかについては、「強そうな薬を選べばいい」という単純なものではありません。
薄毛の状態や年齢、健康状態、副作用への考え方などを含めて医師と相談することが重要です。
ミノキシジル|発毛を促す治療
ミノキシジルもAGA治療で非常によく知られている成分です。
フィナステリドやデュタステリドがAGAの進行を抑える方向の治療であるのに対し、ミノキシジル外用薬は発毛を促す方向の治療として使用されます。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、男性型脱毛症・女性型脱毛症ともにミノキシジル外用が推奨度Aとなっています。
日本では男性向け5%ミノキシジル配合製品などが第1類医薬品として販売されています。例えばPMDAに掲載されている男性向け5%ミノキシジル製剤では、壮年性脱毛症における発毛、育毛、抜け毛の進行予防が効能・効果とされています。
一方、使い始めてすぐ髪が増えるわけではありません。
同製剤では、効果がわかるようになるまで少なくとも4か月程度毎日使用することが案内されており、使用を中止すると効果が徐々に失われることも説明されています。
ミノキシジルにも副作用がある
ミノキシジル外用薬では、頭皮の発疹、赤み、かゆみ、かぶれ、ふけなどが現れることがあります。
製品の添付文書では、そのほか頭痛やめまい、胸の痛み、心拍が速くなる、手足のむくみ、原因不明の急激な体重増加などについても、症状が現れた場合には使用を中止して医師や薬剤師へ相談するよう案内されています。
「塗り薬だから副作用はない」というわけではないため、用法・用量を守って使用することが大切です。
「飲むミノキシジル」は同じように考えてはいけない
薄毛について調べると、「ミノキシジルタブレット」「ミノタブ」と呼ばれる内服ミノキシジルを目にすることがあります。
しかし、ミノキシジル外用と内服は同じように扱うべきではありません。
日本皮膚科学会の男性型・女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版では、ミノキシジル外用は推奨度Aですが、ミノキシジル内服は推奨度D、「行うべきではない」とされています。
AGAクリニックなどで内服ミノキシジルが自由診療として扱われるケースがありますが、治療を検討する場合には、国内での承認状況やリスク、代替となる治療方法などについて医師から十分な説明を受けることが重要です。
単純に「塗るより飲んだほうが強そう」と考えて自己判断するのは避けましょう。
自毛植毛|自分の髪を薄毛部分へ移植する治療
薬とはまったく異なるアプローチが自毛植毛です。
自毛植毛では、AGAの影響を比較的受けにくい後頭部や側頭部などから自分自身の毛包を採取し、生え際や頭頂部など薄毛が気になる場所へ移植します。日本皮膚科学会でも、自家植毛術はAGAになりにくい後頭部の毛を前頭部や頭頂部へ移植する治療として紹介されています。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、男性型脱毛症に対する自毛植毛は推奨度B、「行うよう勧める」とされています。一方、人工毛植毛は推奨度Dです。
自毛植毛の大きな特徴は、薬によって既存毛の成長を促すのではなく、毛包そのものを薄毛部分へ移動させることです。
そのため、髪がほとんどなくなった生え際などでも、十分なドナー毛があり適応があれば治療の選択肢になります。
自毛植毛にはFUEとFUTがある
現在の自毛植毛で代表的なのがFUEとFUTです。
FUEは後頭部などから毛包を一つずつ採取して移植する方法です。FUTは後頭部の頭皮を帯状に採取し、そこから毛包単位に分けて移植します。
FUEは後頭部に一本の長い線状の傷が残らないことが特徴ですが、「傷跡がまったく残らない植毛」ではありません。採取した部分には小さな点状の傷跡が生じます。ISHRS(国際毛髪外科学会)もFUEは無傷跡の手術ではなく、小さな傷跡が生じると説明しています。
FUTでは頭皮を帯状に切除して縫合するため、線状の傷跡が残ります。一方で、FUEとFUTにはそれぞれ特徴があり、どちらがすべての人に優れているというものではありません。
ドナーとなる毛髪の状態、必要な移植株数、普段の髪型、今後どの程度AGAが進行する可能性があるのかなどを考えながら選ぶ必要があります。
AGA治療薬と自毛植毛はどちらがいい?
薄毛治療を初めて検討する人が特に迷いやすいのが、「薬と植毛のどちらを選べばいいのか」という問題です。
しかし、AGA治療薬と自毛植毛は競合する治療というより、役割そのものが違います。
フィナステリドやデュタステリドは、AGAの原因となるDHTの産生を抑え、既存毛が細くなっていくのを抑えることを目的とした治療です。ミノキシジル外用は発毛を促すために使用されます。
一方、自毛植毛は髪が少なくなった場所へ、自分の毛包そのものを移動させる治療です。
例えば、「まだ髪は残っているけれど最近少し細くなってきた」という人と、「生え際が大きく後退し、すでに毛髪がほとんどない」という人では、必要になる治療が同じとは限りません。
また、自毛植毛を受けたからといって、植毛していない周囲の既存毛までAGAの進行が止まるわけではありません。植毛した周囲の毛髪がその後も薄くなる可能性があるため、将来の薄毛の進行を考えた植毛デザインが重要です。
そのため実際には、AGA治療薬で既存毛を維持しながら、必要な部分には自毛植毛を行うという考え方が採用されることもあります。
薄毛が進行してからでもAGA治療薬は意味がある?
AGA治療薬は、薄毛が進行したらまったく意味がなくなるわけではありません。
ただし、すでに毛包が十分に残っていない場所を、薬だけで元通りの密度にできるとは限りません。
薬による治療では「これから失われる可能性のある髪を守る」という考え方も重要です。
一方、すでに生え際の毛髪が大きく失われている場合などは、薬による治療だけでは希望するデザインを作ることが難しく、自毛植毛を検討するケースもあります。
だからこそ「薬か植毛か」をインターネットだけで自己判断するのではなく、現在どれくらい毛髪が残っているのか、ドナーとなる後頭部の毛髪はどの程度あるのか、今後AGAがどのように進行しそうなのかを診てもらうことが大切です。
自毛植毛にはダウンタイムがある
自毛植毛は薬を飲んだり塗ったりする治療ではなく、外科手術です。
そのため、施術後には一定のダウンタイムがあります。
術後は頭皮の腫れ、痛み、つっぱり感、かさぶたなどがみられることがあり、FUEでは小さな点状の傷跡、FUTでは線状の傷跡が残ります。NHSでは、植毛後は最初の2週間程度移植毛を慎重に扱う必要があり、仕事についても1〜2週間程度休む場合があると案内しています。
また、植毛した毛がそのまま伸び続けるわけではありません。
移植した毛髪はいったん抜けることがあり、その後新しい髪が成長していきます。NHSでは新しい毛髪が見え始める目安を約4か月、最終的な結果が確認できる時期を10〜18か月程度としています。
つまり、自毛植毛は「今日手術を受けて来月には完成」という治療ではありません。
長期的な目線で考える必要があります。
植毛すればAGA治療薬を一生飲まなくてもいい?
これは一概には言えません。
自毛植毛で移植した毛包と、もともと前頭部や頭頂部に残っている毛髪は別に考える必要があります。
自毛植毛を行っても、植毛していない既存毛についてはAGAが進行する可能性があります。
例えば、生え際に植毛してきれいなヘアラインを作ったとしても、その後、生え際の後方にある既存毛が薄くなれば、「植毛した毛だけが前方に残る」という不自然な状態になる可能性があります。
そのため、自毛植毛を行う際には手術時の仕上がりだけではなく、5年後、10年後のAGAの進行まで見据えた計画が重要です。
薬を継続するかどうかについても、自己判断ではなく医師と相談しながら決めることをおすすめします。
女性の薄毛治療は男性と同じではない
女性の薄毛についても注意が必要です。
男性型脱毛症に使用されるフィナステリドやデュタステリドを、そのまま女性にも使用できるわけではありません。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、女性型脱毛症に対するフィナステリドとデュタステリドの内服はいずれも推奨度Dです。一方、ミノキシジル外用は男性・女性ともに推奨度Aとなっています。
日本皮膚科学会も、女性型脱毛症では男性型脱毛症とは異なり、男性ホルモンの影響に関する明確なデータがなく、さまざまな要因によって生じている可能性があると説明しています。
女性の薄毛は、年齢、ホルモン状態、栄養状態、病気なども含めて考える必要があります。
男性向けAGA治療の情報をそのまま当てはめず、適切な診断を受けることが重要です。
AGA治療はどのくらいで効果が出る?
薄毛治療を始めると、「1か月飲んだけれど増えていない」「2か月使ったのに変化がわからない」と不安になることがあります。
しかし、毛髪には成長サイクルがあるため、AGA治療は基本的に短期間で判断する治療ではありません。
フィナステリドでは通常、効果を確認するまで6か月程度の継続が必要とされ、デュタステリドについても通常6か月程度の治療で効果を評価します。男性向け5%ミノキシジル外用製剤については、少なくとも4か月程度の継続使用が必要とされています。
毎日鏡を見ていると変化がわかりにくいため、治療を始める前に同じ場所・同じ明るさ・同じ髪型で写真を撮っておき、数か月単位で比較する方法もあります。
ただし、一定期間治療しても改善がみられない場合には、「もっと薬を増やそう」と自己判断するのではなく、診断や治療方法そのものが適切なのかを医師に確認しましょう。
AGA治療をやめるとどうなる?
AGAは、薬を一定期間飲めば治って終了するタイプの治療とは性質が異なります。
フィナステリドは効果を持続させるために継続服用が必要とされ、ミノキシジル外用についても使用を中止すると徐々に元の状態へ戻ることが添付文書で説明されています。
そのためAGA治療を始める際には、「とりあえず3か月だけ」という目線ではなく、長期的に続けられる治療なのかを考えておくことも大切です。
治療費についても月額だけを見るのではなく、数年単位でどのくらいの負担になるのかを考えましょう。
AGA治療や植毛は保険が使える?
日本皮膚科学会では、男性型脱毛症は一般的な病気というより加齢変化の一種として扱われているため、有効な治療方法の多くは保険診療で受けられないと説明しています。
そのため、AGA治療や自毛植毛では自由診療になるケースが一般的です。
治療費は医療機関や使用する薬、診察内容、植毛する株数、施術方法などによって大きく異なります。
特に自毛植毛について、日本皮膚科学会は内服療法や外用療法と比べて費用がかかる治療であると説明しています。
価格だけでクリニックを選ぶのではなく、「最終的にいくら必要になるのか」「診察料や検査料を含むのか」「追加料金はあるのか」などを事前に確認しておきましょう。
育毛剤・シャンプーだけでAGAは治る?
薄毛が気になったとき、最初に育毛シャンプーや育毛剤を購入する人も多いでしょう。
頭皮を清潔に保つことや、自分に合ったヘアケアを行うこと自体は大切です。
ただし、AGAはDHTなどが関係して毛髪の成長期が短くなる脱毛症です。
そのため、一般的なシャンプーで頭皮を洗うことと、AGAそのものに対する医学的治療は分けて考える必要があります。
「高級なシャンプーを使えばAGAが治る」「頭皮を毎日マッサージすればAGAがなくなる」といった単純な話ではありません。
薄毛がAGAによるものなのかを確認したうえで、必要に応じてエビデンスに基づく治療を検討することが重要です。
食生活や睡眠を改善すれば髪は生える?
睡眠、食事、運動など健康的な生活を心がけることは、体全体の健康を考えるうえで大切です。
一方で、AGAには男性ホルモンや遺伝的要因などが関係しています。
そのため、生活習慣を整えるだけでAGAの原因そのものを解消できるとは考えないほうがよいでしょう。
「夜更かししたからハゲた」「ワカメを食べればAGAが治る」といった単純な原因・結果で考えるのではなく、薄毛の原因を正しく把握することが大切です。
ただし、極端なダイエットや全身疾患などが脱毛に関係するケースもあるため、急激な抜け毛の場合にはAGAだけを疑わず医療機関へ相談しましょう。
初めてAGAクリニックへ行くと何をする?
医療機関によって診療内容は異なりますが、基本的には現在の薄毛の状態や経過、家族歴、健康状態、服用中の薬などを確認したうえで治療方針を考えていきます。
特に重要なのは、「髪を増やしたい」という希望だけを伝えるのではなく、自分が何に悩んでいるのかを具体的に伝えることです。
「生え際をこれ以上後退させたくない」「頭頂部の透け感を改善したい」「できれば薬を長期間飲みたくない」「植毛を検討している」「副作用が心配」といった希望によって、相談すべき内容は変わってきます。
また、薄毛治療ではカウンセラーではなく、医学的な診断や治療内容の決定を医師が行うことが重要です。厚生労働省は、美容医療において無資格のカウンセラーなどが患者の個別状況に応じた医学的判断や具体的な治療方法を決定する行為について注意を示しています。
初めて相談するときほど、「何の薬を買うか」ではなく「自分はなぜ薄毛になっているのか」を確認することから始めましょう。
AGAクリニック・植毛クリニック選びで重要なこと
薄毛治療は短期間で終わるとは限りません。
特にAGA治療は長期的な継続が必要になるケースが多く、自毛植毛についても将来の薄毛の進行まで考えた計画が重要です。
そのため、広告の価格や症例写真だけを見て決めるのではなく、医師から診断や治療の選択肢について十分な説明を受けられるか確認しましょう。
「この治療しかありません」と最初から一つの治療へ誘導するのではなく、治療しない選択肢も含めて説明してもらえるか、薬のメリットだけでなく副作用についても説明があるか、自毛植毛の場合にはFUEとFUTの違いや傷跡、ダウンタイム、将来使用できるドナー量まで説明があるか、といった点も大切です。
特に植毛では、後頭部にあるドナー毛は無限ではありません。ISHRSでも、ドナー領域には限りがあり、過剰採取による薄毛や傷跡を避けるために長期的なドナー管理が重要とされています。
「今だけ髪が増えればいい」のではなく、今後AGAが進んだ場合まで考えてくれる医師へ相談することが重要です。
こんな場合は一度医療機関へ相談しよう
「以前より明らかに生え際が後退してきた」「頭頂部が透けるようになった」「細く短い毛が増えた」といった変化が続いている場合は、AGAが関係している可能性があります。
また、突然大量に髪が抜けた、円形・斑状に髪が抜けた、頭髪以外の毛も抜けている、頭皮に強い炎症や痛みがあるなど、一般的なAGAとは異なる症状がある場合も、一度医療機関へ相談することをおすすめします。
薄毛に気づいたからといって、必ず薬を飲んだり植毛したりしなければならないわけではありません。
診察を受けたうえで、「今は治療しない」という選択をすることもできます。
まず自分の頭皮や毛髪で何が起きているのかを知ることが、薄毛治療の第一歩です。
はじめての薄毛治療でよくある質問
AGA治療は何歳から始めればいいですか?
「○歳になったら始める」という一律の基準はありません。
年齢だけではなく、実際の薄毛の状態や進行速度、本人がどの程度気にしているのかによって判断します。
なお、日本で承認されているフィナステリドやデュタステリドについては、20歳未満での安全性・有効性が確立されていません。
年齢にかかわらず、急激な抜け毛や通常とは異なる脱毛がみられる場合には自己判断せず医師へ相談しましょう。
AGAは自然に治りますか?
AGAは思春期以降に始まり、徐々に進行する脱毛症です。
「しばらく待っていれば元通りになる」という性質のものではありません。
ただし、抜け毛の原因がAGAではなく一時的な休止期脱毛などの場合もあります。
そのため、まず原因を確認することが大切です。
AGA治療を始めたら一生続ける必要がありますか?
AGA治療薬の効果を維持するには継続が必要になります。
フィナステリドの添付文書では継続服用によって効果を維持することが示されており、ミノキシジル外用も使用を中止すると徐々に元の状態へ戻るとされています。
ただし、将来どの時点まで治療するかは本人の希望によっても変わります。
医師と相談しながら治療目標を決めることが大切です。
植毛した髪はすぐに伸びますか?
自毛植毛は、施術直後に完成する治療ではありません。
移植した毛髪はいったん抜けることがあり、その後新しい髪が成長します。NHSでは、新しい髪が現れ始める目安が約4か月、最終的な結果が確認できるまで10〜18か月程度とされています。
そのため、自毛植毛は1年程度の長期的な目線で考える必要があります。
自毛植毛なら薬を使わなくても薄毛は進みませんか?
自毛植毛をしても、植毛していない既存毛にはAGAが進行する可能性があります。
植毛後にAGA治療薬を使用するかどうかは薄毛の状態などによって異なるため、担当医と相談して決めましょう。
FUEなら傷跡は残りませんか?
FUEでも傷跡は残ります。
FUTのような一本の線状の傷ではありませんが、毛包を採取した場所に小さな点状の傷跡が生じます。ISHRSも「FUEは傷跡が残らない」という説明は正確ではないとしています。
非常に短い髪型を希望している人は、施術前に傷跡の見え方についても確認しておきましょう。
まとめ|薄毛治療は「自分の薄毛を知ること」から始めよう
植毛やAGA治療について調べ始めると、「この薬が一番効く」「植毛なら一生安心」「これを使えば必ず髪が生える」といったさまざまな情報が目に入ります。
しかし、薄毛治療で最も大切なのは、いきなり治療方法を選ぶことではありません。
まず自分の薄毛が何によって起きているのかを知り、その原因と現在の進行度に合った治療方法を選ぶことです。
男性のAGAに対しては、フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル外用、自毛植毛など、医学的根拠に基づいて用いられている治療方法があります。日本皮膚科学会のガイドラインでは、男性型脱毛症に対するフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル外用が推奨度A、自毛植毛が推奨度Bとされています。
一方、それぞれの治療には特徴があります。
薬は継続が必要になり、副作用の可能性もあります。自毛植毛は薄くなった場所へ毛包そのものを移植できますが、外科手術であり、費用やダウンタイム、傷跡、限られたドナー毛をどのように使うかという問題があります。
だからこそ、「AGAだからとりあえず薬」「生え際が気になるからとりあえず植毛」と決めるのではなく、自分がどのような状態を目指したいのかまで含めて考えることが大切です。
薄毛治療を始めるのに必要なのは、難しい専門知識をすべて覚えることではありません。
AGAとはどのようなものなのか、薬にはどのような役割があるのか、自毛植毛とは何が違うのか。それぞれのメリットだけでなくデメリットまで理解できれば、自分に合った治療を選びやすくなります。
薄毛が気になり始めたら、一人で悩み続けたりインターネットの情報だけで自己判断したりせず、必要に応じて医師へ相談しながら、自分に合った薄毛治療を考えていきましょう。
※本記事はAGA・薄毛・自毛植毛に関する一般的な情報を提供するもので、個別の診断や治療を目的とするものではありません。治療の適否、医薬品の使用、副作用への対応などについては、医師・薬剤師などの医療専門職へご相談ください。
